翔龍shoryuの忍たま日記

『忍たま乱太郎』について色々と書いていくブログです。『ドラゴンボール』や藤崎竜さんの『封神演義』のレビューも書いています。

「忍びの山田利吉の段」 『忍たま乱太郎』24期第66話

「忍びの山田利吉の段」
忍たま乱太郎』24期第66話
2016年11月7日放送

 

24期の追加エピソード。『忍たま』では珍しく秋の放送となったので内容も秋が舞台。図書委員会のきり丸が「読書の秋」で、しんべヱが「食欲の秋」だったので、絵を描く乱太郎は「芸術の秋」かと思ったら「忍者の秋」だった。

 

今回は利吉さんのお話。これまでの話でも「忍たまが話を聞く」と言う形で利吉さんの仕事が語られる事があったが今回は忍たまが誰も関わっていない中での利吉さんの仕事の話となった。
この話を見て気付いたのだが、利吉さんは忍たま達に自分の仕事を説明する時に一つ説明していない事があった。それは「利吉さんが忍者と判明した後、残された者達はどうなるか?」である。
忍者の仕事上、忍務の上でいくつかの犠牲が生じる事がある。思えば利吉さんはこれまでの話で忍たま達に「自分達の仕事で罪の無い人達に迷惑をかける可能性がある」事をあまり語っていない。これは利吉さんが忍たま達に話をするのはまだ早いと考えているのか、それとも利吉さん自身がその事に気付いていなかったのか。売れっ子忍者とは言えまだ若い利吉さん。ひょっとしたら後者だったのかもしれない。

 

料理番の親方もどこかから入り込んだ忍者だったようだ。このまま利吉さんが逃げたら自分が疑われると言って戦ったけれど、表向き普通の料理番が忍者の利吉さんを倒したら逆に殿に疑われるので、実は親方には「利吉さんを倒す」と言う選択肢は無かったりする。つまり、親方の「私を倒してから行け」はそのままの意味だったのだ。

 

親方が利吉さんが忍者であると気付いたのは一緒に働いてしばらくしてからとの事。利吉さんの正体に気付いたタイミング的に雇ってしまったのは仕方が無いのだが、殿に食事を持って行かせたのはちょっと疑問が生じる行動であった。
親方は自分が忍者である事がバレるような事はしたくなくて、自分の仕事の邪魔をしなければ利吉さんの事は放置しておくつもりだったと言っているが、それならどうして利吉さんに殿への食事を持って行かせたのだろうか? 利吉さんから殿に食事を持って行きたいと言ったわけではなく、むしろ利吉さんは自分が殿に食事を持って行く役目を与えられた事にちょっと驚いていた。親方は利吉さんが問題を起こさなかったらそのまま放っておいたと言っていながら利吉さんが問題を起こすシチュエーションを作っている。

 

殿は利吉さんのほんの少しの不自然な動きから忍者である事を見抜く。もしここで殿に見抜かれていなかったら利平はある日突然姿を消した若者で話は終わっていた。この場合、利平を雇った親方は管理不行き届きは責められるかもしれないが忍者かもしれないと疑われる事は無かったであろう。つまり、親方からしたら殿に疑われた時点で実は利吉さんは失敗を犯している事になるのだ。
利吉さんは正体がバレても捕まらずに城から脱出出来たら自分の仕事は成功したと考えていたかもしれないが、無事に逃げられた利吉さんは大丈夫でも城に残された者達は利吉さんの手引きをしたのではないかと疑われてしまう。おそらく利吉さんはそこまで考えが回っていなかった。なので、親方は利吉さんが逃げた後、利吉さんを手引きしたのではないかと自分達が疑われないように、逃げる利吉さんを捕らえようとしたが逆に倒されてしまったと一芝居打つ事にしたのだ。
そう考えると親方が利吉さんに殿への食事を持って行かせた理由も分かる。利吉さんはもっと時間をかけて殿に近付く計画だったかもしれないが、時間をかければかけるほどに利吉さんは城の中で色々な人と知り合う事になる。つまり、利吉さんを手引きしたのではないかと殿に疑われる人数が増えてしまうのだ。なので親方は殿に疑われる人数が少ない内に利吉さんの仕事を終わらせようとしたのかもしれない。

 

利吉さんと親方の違いは一言で言えばアフターフォローまで気が回るか回らないか。ここはフリーの忍者として仕事場を転々としている利吉さんと一つの仕事場にずっといなければいけない親方の違いとも言える。
で、ここまで考えてちょっと怖い想像が出来てしまうのが今回の話。
利吉さんは自分が逃げた後、城に残された者達がどうなるかと言う事を親方に指摘されて初めて気付いた。と言う事は、これまで利吉さんが潜入したいくつかの城で利吉さんが正体を見抜かれながらも逃げる事が出来た場合、城に残されたた罪の無い事情を知らない人達が利吉さんの手引きをした者として疑われて処刑されたのでは……。

 

フリーの売れっ子忍者である利吉さん。彼の華々しい活躍の裏では本人すら気付いていなかった名も無き犠牲者がいたのかもしれない。

 

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