shoryu20の忍たま日記

『忍たま乱太郎』について色々と書いていくブログです。藤崎竜さんの『封神演義』と柴田亜美さんの『南国少年パプワくん』のレビューもあります。

「死闘十一 -現在かさなる過去-」 『封神演義』第145回

「死闘十一 -現在かさなる過去-」

封神演義』第145回

 

黄飛虎と聞仲の決着編。

 

聞仲の始まりは朱氏との関わりであった。聞仲は朱氏の事を「ライバル」と語っていたが、実際には「親友」または「想いを寄せる相手」であったと思われる。朱氏は王の妃となって聞仲とは違う道を歩むようになり一時期は聞仲も自暴自棄となったが、やがて仙人界で力を付けて朱妃とその子がいる殷の役に立つと言う目標を見付ける。朱妃は戦の中で命を落とすが、聞仲は朱妃の子供を育てて殷を強大にしていく事となる。聞仲にとって殷とは朱氏とイコールだと言っても良い。

さて、朱氏が「聞仲より年上」「共に殷を守っていくと誓った」と言うのに対して黄飛虎も「年下だが兄貴風を吹かせる」「共に殷を守っていくと誓った」となっていて実は朱氏との共通点が多い。殷王家は朱妃の子孫で、おそらく聞仲は殷王家に朱氏の面影を見ているところがあると思うのだが、黄飛虎はそう言った血筋の関係とは別に「朱氏の面影」を持った人物だったと言える。聞仲が「自分が年長であるにもかかわらず飛虎はいつも兄貴風を吹かせていた。しかし、自分はそれが嫌ではなかった」と言っていた事があるが、それは聞仲が黄飛虎の中に朱氏の面影を感じたからではないだろうか。

 

今回の話のラストで聞仲の仮面が外れる。

聞仲がいつから仮面を付けるようになったのかは描かれていない。黄飛虎が殷を離れて聞仲が心を閉ざしてからだったら分かりやすいのだが実際には黄飛虎が殷にいた頃から付けている。

さて、殷王家に忠誠を誓う聞仲であるが、殷郊と殷洪については殆ど言及が無い。血筋を考えたら彼らも朱氏の子孫であるのだが…。ひょっとしたらだが、黄飛虎と出会った聞仲は昔に比べて殷王家に執着しなくなっていたのかもしれない。幼少の頃から面倒を見ていた紂王に対しては親や師のような感覚があるのだろうが、段々と殷王家より黄飛虎の事を重視するようになっていったと思われる。(実際、聞仲は遠征から帰ると紂王より先に黄飛虎に会いに行って黄飛虎に注意されている)

しかし、これは今まで殷王家に仕えてきた聞仲にとってはある種の後ろめたさと言うか裏切り行為だと感じるものがあったのではないだろうか。殷王家への想いを上回る黄飛虎への想い。それに対する罪悪感から、その想いを隠す為に聞仲は仮面を付けたのではないだろうか?

聞仲が今回の戦いの中で黄飛虎と初めて出会った頃を思い出し、自分が取り戻したかったのは「殷」ではなく「飛虎のいるかつての殷」だったと気付いた時、付けていた仮面は遂に外れた。しかし、黄飛虎への想いを隠す仮面が落ちた時には既に遅く、次の回で黄飛虎は「もう俺とおまえの殷は失くなっちまったんだ…。もうねぇんだよ…」と告げ、聞仲を残してこの世を去る事となる。

 

聞仲と黄飛虎の決着の舞台は王天君が作り出した幻の禁城。

そう言えば二人とも実際の禁城に戻る事は無かった。(因みにこの後の話で実際の禁城で並び立ったのは黄飛虎の息子である天化と聞仲の教え子であった紂王であった)

それにしても幻とは言え「早く禁城のあるこの空間から出ないと死ぬ」と言う舞台を黄飛虎と聞仲に用意する王天君は凄まじいセンスの持ち主だ…。

 

人間に子供を連れ去られて怒るも聞仲に返り討ちに遭う大地の霊獣。

そう言えば水棲霊獣王も息子を殺されて怒ったら返り討ちに遭いそうになっていたなぁ…。

以前の話で元始天尊が聞仲の行いを否定したが、聞仲にはこう言った「殷に害をなす者は事情も聞かずに倒す」と言う事が度々あったんだろうなぁ…。

 

黄飛虎が苦戦しているのを見た太公望は楊戩に「王天君に変化して紅水陣を解除せよ」と命令。結果的に1人目の王天君と2人目の王天君は別人扱いだった為に失敗したが、ここで重要なのは「太公望は紅水陣の解除方法を思いついていながらしばらく口にしなかった」と言う事。おそらく聞仲を倒すには黄飛虎の存在が効果的と判断したのだろう。ここで太公望は黄飛虎の危機を感じると途中で戦いを止めようとしたが、王天君は最後まで戦うようにと舞台を整えている。ここが太公望と王天君の違い。