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shoryu20の忍たま日記

『忍たま乱太郎』について色々と書いていくブログです。藤崎竜さんの『封神演義』のレビューも始めました。

「太上老君をめぐる冒険6 -睡眠-」 『封神演義』第154回

封神演義(藤崎竜)

太上老君をめぐる冒険6 -睡眠-」

封神演義』第154回

 

太上老君登場!

個人的に太上老君のキャラデザはメチャクチャ好み。

 

「想像を超える精神性」とは言葉で言うのは簡単だがそれを具体的に示すのは難しい。しかし、本作では太上老君太公望の質問したい事を先回りして述べ、さらにその回答もセットで述べる事と自分以外のあらゆる生物の口を借りて言葉を伝える事の二つを同時に披露する事で「想像を超える精神性」を見事に表現した。

 

妲己とは戦わないので負ける事も無い」と答える太上老君。やる気の無い彼らしい回答であるが、ひょっとしたら太上老君はこの時点で既に妲己が女媧の言いなりではない事を見抜いていたのかもしれない。封神計画が歴史の道標である女媧を倒す計画なら、女媧に反旗を翻した妲己も敵ではなくなると言う可能性は十分にあった。実際、蓬莱島での戦いで太公望達は妲己自身と戦う事は無かった。

 

殺し合う人間の未来を見たと言う太上老君。この手のキャラによくある未来予知かと思いきや後に女媧の夢を覗き見していた事が明かされる。この伏線は実に上手かった。これによって太上老君が見た「未来」は実際には女媧の夢に出た「過去」であり、実際の「未来」は太上老君にも分かっていないとなった。そしてそれはそのまま本作の最終回のテーマへと繋がる。

 

太上老君に破滅の未来のビジョンを見せられた太公望は「わしは遠い未来の事にまで責任は持てぬし、未来を救えると思えるほど傲慢にはなれぬよ。わしらに出来るのはわしらが正しく使った世界を後の人々へバトンタッチする事であろう? 人間の歴史がどこへ行きつくか、…その結果はわしではない誰かが知ればよい」と答える。今回の「太上老君をめぐる冒険」のスタートで太公望は「過去」を見せられ、今回は「未来」を見せられた。しかし、太公望はあくまで「現在」を生きる。これが「過去」に囚われた女媧との対比となる。

 

この時点では太公望と伏羲はイコールではないが、今回の太公望の考えを伏羲に当てはめると腑に落ちる点が出てくる。本作は最終的に伏羲と女媧の戦いとなるのだが、作品展開としては「地球を支配せんとする宇宙人・女媧」と「それに抗う事を決めた地球人・太公望」の方がテーマは分かりやすかったはずだ。しかし、実際には「同じ始まりの人である女媧と伏羲の戦い」となっている。

今回の話で太公望が語った事を伏羲に当てはめると、遠い未来にまで干渉する女媧の考えを否定し、自分達は後の世代に世界を引き継がせなくてはいけないと言っている事になる。女媧の存在は世代交代を妨げるものなので、女媧と同じ世代である伏羲が責任を取って女媧を退場させ、世界を後の世代へとバトンタッチさせたと見る事が出来る。