「澠池城の攻防㊥ -太上老君の教え-」
『封神演義』第158回
「弱い」と言われ続けていた太公望だが数々の戦いを経て強くなっていき、遂にスーパー宝貝を持つに至った。現時点で周&崑崙側でスーパー宝貝を使えるのは太公望の他には元始天尊のみ。他を当たっても妲己と申公豹しかスーパー宝貝を使える人物はおらず、太公望は最強クラスの戦力を手に入れたと言える。
この辺りから太公望の戦いは太極図が中心になるのだが、今回の戦いでは打神鞭の風で張奎の土の塊を一瞬で破壊して仲間を全員助ける等、風の能力もかなりレベルアップしている。
『封神演義』は「漢字」を「デザインの一種」として用いる事が多いが、太極図関係はその演出の究極と言える描写になっている。
蟬玉の目の前で高蘭英に襲いかかって返り討ちに遭った土行孫を見ての天化の「よぉモグラ」が好き。
「静める宝貝」である太極図。これによって敵だけでなく味方の宝貝も無効化される。これは宝貝が無いと奇跡を起こせない仙道の存在意義を揺るがす事態。しかし、太公望は人間界に仙道は不要と考えているので、彼の理想に合った宝貝とも言える。(又、宝貝を使わない戦いとなれば、この時代最高クラスの頭脳を持つ軍師・太公望は最強に近い存在になるとも言える。兵を使っての戦いで太公望に勝てる存在は殆どいないので)
宝貝を封じられても「おまえは聞仲様を殺したっ!!! 許せないんだよっ!!!!」と太公望に挑みかかる張奎。ここは桃源郷の雲の中で命を落とした者達と自分は違う道を歩んでいると答える太公望との対比になっている。とは言え、大切な人を奪った者に対して怒りを燃やす張奎の気持ちは分かる。太公望はそれを60年前に一族を滅ぼされた時に乗り越えたのだろう。つまり、張奎はかつての太公望であるとも考えられる。
「澠池城の攻防㊦ -封神台-」に続く。