shoryu20の忍たま日記

『忍たま乱太郎』について色々と書いていくブログです。藤崎竜さんの『封神演義』と柴田亜美さんの『南国少年パプワくん』のレビューもあります。

「歴史の道標二 -封神計画の真相!!-」 『封神演義』第166回

「歴史の道標二 -封神計画の真相!!-」

封神演義』第166回

 

最初の人のデザインは宇宙人「グレイ」なのだが、今回のタイトルである「封神計画の真相!!」もバラエティ番組とかで宇宙人を取り上げる時の「○○の真相!」的な感じを受ける。

 

通天教主の下を離れた妲己は後ろ盾の無い状態だったので女媧との取引を受け入れる。仙人界と人間界の完全支配を夢見た妲己はゴージャス生活を送りながらも修行に明け暮れていたが、この時点ではまだスーパー宝貝・傾世元禳を使いこなせていないので、さらなるパワーアップの為には強力な力を誇る女媧の協力が不可欠であった。

この取引で女媧は「仙人を超える能力を妲己に与える」と言っている。後に妲己が金鰲島の妖怪仙人を支配下におけたのも女媧に力を与えられたからであろう。その一方で妲己は聞仲と四聖に倒された後に修行をしたり蠆盆の人間を食べたりして力を付けている。いずれ女媧と対立する事を見越して女媧に与えられた以外の強さも身に付けておこうとしていたのだろうか。

 

仲間達によって異空間に封じられた女媧だったが長い年月をかけて魂魄だけで動き回れるようになった。妲己は女媧の肉体の封印を解く研究を始めるのだが、ひょっとして、借体形成の術はこの研究の副産物だったのかな?

 

女媧の「そろそろ殷を滅ぼしたい」と言う言葉を受けて妲己は殷をメチャクチャにしたとの事。申公豹曰く「多少のやり過ぎは女媧も目をつむったのでしょうね」。…さすがの女媧も炮烙・蠆盆・酒池肉林には少し引いたんだ。

 

女媧も引く妲己の行動に対して遂に三大仙人が動き出し、サミットによって封神計画が始まるのだが、実はこのサミットには色々な疑問が出てくる。

第1回で元始天尊は「数年前にサミットを開いた」と言っているが、一人目の王天君は楊戩に「通天教主の異変に気付いた元始天尊が独断で封神計画を始めた」と説明していた。そして今回の申公豹の話では「殷をメチャクチャにする妲己とその背後にいる女媧を倒す為に元始天尊と通天教主が計画を練り、後に太公望を拾って封神計画用に教育した」となっている。(直前に紂王時代の話があるので混乱するところだが、元始天尊と通天教主による封神計画立案のタイミングを見ると、封神計画は妲己が王氏と名乗っていた時代に始められている事になる)

ここまで時期や内容にブレがあるとサミット自体が無かった可能性も出てくる。元々、今回の話はあくまで申公豹の「推理」であって「真実」とは限らないし。妲己は申公豹の推理を「採点」すると言っていながら「自分と女媧は共犯」以外には答えを示していないし。さらに言えば、この後にこの時点の申公豹も知らなかった王奕と燃燈道人の話も出てくるし。

 

申公豹は「妲己は人の心の動きをものの見事に利用する」「女媧ですら妲己ほど上手に歴史を操れない」と評価する。そして後の話で女媧も妲己が関わった今回の歴史操作は「限りなく上手くいっている」と語っている。

女媧と妲己の歴史操作の違いだが、女媧は「新たな国を作れ」「仙人界を作れ」と大ざっぱな指示を下すだけだったが、それに対して妲己は殷を滅ぼす為に民の心が殷から離れるよう色々な悪行を始めたり、仙界大戦の時も聞仲が全面戦争を決断するように色々と状況を整えていった。簡単に言えば、女媧は「一つの大きな指示を出すだけ」なのだが、妲己は「その人物が自分の思惑通りに動くよう色々と細かい準備をする」と言う違いがある。

どうしてこういう違いが出たのか。それは女媧が「過去の歴史を知識として知っているだけ」だからであろう。例を挙げれば「僕(shoryu)は戦国時代に誰が何をしたのか分かっている」と言うのと同じ。女媧のやり方は、僕(shoryu)が明智光秀に向かって「織田信長を討て」とだけ言っているようなものなのだ。しかし、妲己明智光秀織田信長を討たせたるように色々と準備するのだ。(妲己なら、織田信長の妻・濃姫に化けて「いやぁ~ん! 光秀ちゃんが用意してくれた鯛が腐っていますわぁん」と言って、織田信長明智光秀を叱責するように仕向けたりする)

 

今回の話で『封神演義』における謎はかなり解明された。そしてこの後も申公豹は謎を解いていく。本作の主人公は太公望なのだが、彼は封神計画や歴史の道標に関する謎を解く事は殆ど無く、そこは申公豹の仕事となっている。読者の関心として多くの謎の解明があったので、それを果たしていく申公豹は本作における「もう一人の主人公」と言える。

 

ところで今回の謎解きなのだが実はあまり上手くない。

と言うのも、一応は湯王絡みで繋げてはいるのだが、前後の紂王の戦いとはあまり関係無く謎解きが始まった上に、その殆どが申公豹の推理を延々と披露していくと言う形で、さらに、これまで伏線が殆ど無かった宇宙人絡みの話がいきなり出てくる等、どうにも唐突な印象を受けた。(妲己が驚いて「よくそこまで推理出来たわねん」と言ったのはこれまで伏線が無かった宇宙人関連について。藤崎竜さんも宇宙人関連についてはこれまで情報を出していなかった事を気にしていたのかもしれない)

少し前に封神台の秘密が唐突に語られたが、この時期になると作品の終了時期が見えてきたので謎解きを急ぎ始めた感じがする。