shoryu20の忍たま日記

『忍たま乱太郎』について色々と書いていくブログです。藤崎竜さんの『封神演義』と柴田亜美さんの『南国少年パプワくん』のレビューもあります。

『忍たま乱太郎』

忍たま乱太郎

2011年7月23日公開

 

忍たま』の実写映画第1弾。

乱太郎の忍術学園入学を導入部に、原作45巻で描かれたタカ丸親子暗殺編をクライマックスに配置している。

他の実写化作品と同じく役者に合わせたキャラ付けがされていたり、展開やギャグのノリが原作やアニメとは違っている部分が多々あるので見ていて違和感を覚える人も出てくると思われる。実写に限らずアニメでも漫画とは違う部分が出てくるので、同じ作品をベースにしてもメディアが変わると中身も変わるのは仕方が無い事かなとは思っている。

 

始まりは乱太郎の旅立ちの場面から。

加藤清史郎さんの乱太郎は原作の雰囲気を上手く再現している。中村獅童さんの父ちゃんと檀れいさんの母ちゃんは原作と比べると美男美女ではあるが原作に登場する美形ヴァージョンの父ちゃん母ちゃんに似ているので違和感は無い。また、中村獅童さんが両手を広げて「乱太郎!」と叫ぶ場面は原作の父ちゃんの雰囲気になっていたと思う。

乱太郎が家から忍術学園へと向かう道中はホッとする花の場面の一方で厳しい合戦の場面もある。他にも町中やお地蔵様の場面で説明台詞を使わずに21世紀とは違う戦国時代の雰囲気を見せている。この冒頭の場面で乱太郎は常に駆けているが、これがクライマックスの打鳴寺への競争対決に繋がっている。

乱太郎が夏休みで家に帰ってきた時に父ちゃんと手裏剣キャッチボールをしている。ドラマでよく見る「親子のキャッチボール」を手裏剣でやると言うアイデアがまさに忍者モノならではとなっていて上手い。

 

忍術学園での授業は観光地での忍者ショーや体験入学と言う感じかな。特に初めて刀を扱う時の乱太郎達のリアクションがそういう感じになっていた。後半の忍たま達とプロ忍者の対決もセットを強調したコントっぽい作りになっていたので、子供が出る場面ではあまり生々しい感じにしないように作り物である事を強調していたように見えた。(逆に先生や利吉さんがドクササコの凄腕忍者と戦う時はかなりリアルな感じにしていた)

漫画やアニメや小説を実写化した時に一つ問題となるのが二次元のキャラクターをどのようにして三次元化するかであるが、本作では主要人物の再現度が高かった。特にしんべヱ役の子役はよく見付けてきたなと思う。この辺りは既にミュージカル化されているので他の漫画原作作品よりキャスティングのノウハウがあったのかもしれない。

初対面なのにきり丸に言われるがまま戸惑いながら赤ちゃんの世話をし、しばらく経ったら赤ん坊を背負いながら授業をしている土井先生。三ヶ月後の夏休みになると家族がいないきり丸を土井先生が引き取る事になるのだが、あっという間に家の中での主導権をきり丸に握られているのが笑える。この辺りはメインストーリーでないところでもきり丸と土井先生の関係をきちんと押さえていて良かった。ただ、きり丸がおひねりをすると言うのは違和感があったなぁ…。

喜三太と金吾が登場する前の一年は組の道具入れに見慣れない名前があったので調べてみると「吉松」「音吉」と書かれてあった。どうやらアニメ初期に登場していたアニメオリジナルの一年は組メンバーらしい。細かい。

期待していた寺島進さんの伝子さんの出番が殆ど無かったのは残念だった。

 

最初の挨拶で学園長が言った「忍とはガッツだ。知力・体力の足りない分は根性でカバーせよ」はクライマックスでの乱太郎の頑張りに繋がっている。

食堂のおばちゃんを古田新太さんに演じさせると言う発想が凄いw

お婆ちゃんの山本シナ先生のキャラクターが原作と違うが、これは変装のギャップを狙ったキャラ付けなんだろうな。

先輩達の授業風景は漫画、アニメ、ミュージカル含めてもっとも忍者している授業風景かもしれない。六年生が実習で先生と戦うと言うシチュエーションが燃える。中盤の先生達とプロ忍者達の戦いもだったが本作のアクションシーンはかなり良い。

 

八方斎は松方弘樹さんの声がアニメでの飯塚昭三さんの声に通じるものがあって違和感が無い。それにしても八方斎の頭を実写ですると完全に妖怪だねw

ドクタケ忍者の忍者服がおなじみの赤ではなかったのが残念。

 

斎藤幸隆を演じた鹿賀丈史さんのメイクが凄いw

そしてあのメイクでも鹿賀丈史さんだとすぐに分かってしまうのも凄いw

 

個人的に柄本明さん演じるウスタケ忍者長老と波岡一喜さん演じるドクササコの凄腕忍者はキャスティングがハマっていて良かった。

 

打鳴寺への競争の話を聞いて乱太郎はやってみたいと思うがそれを言い出す勇気が無かった。それを知ったきり丸が乱太郎に代わって競争に参加する流れを作る場面が良い。

 

本作は前半は良かったのだが後半になると色々と問題が出てくる。その原因は約100分と言う時間に話を詰め込みすぎたであろう。同じ年に公開された『忍術学園全員出動!の段』も登場人物が多かったがアニメの場合はTVシリーズ18年間の積み重ねがあったので映画でわざわざ世界観や登場人物の説明をしなくても大丈夫だったのだが、本作は初の実写化作品だったので、まずは世界観や登場人物の説明をしなければいけなかった。ところが前半は丁寧に話を進めていたのに中盤になるとそう言った説明を殆ど省いて新キャラや敵勢力が次々と登場するので原作を知らないと話を追うのが大変になってしまっている。

また、時間が足りなかったからなのか、五年生や六年生とウスタケ忍者や暗殺者との戦いがカットされていて、大きな事件の始まりであった万寿烏と土寿烏との決着が分からなくなってしまっているのも残念なところ。時間を20分延ばした2時間の上映時間にして後半の重要人物であるタカ丸や虎若やプロ忍者達の説明を増やすか、後半のウスタケ忍者やドクササコ忍者や暗殺者達の話を外して今回は忍術学園内の話に絞るか、タカ丸親子暗殺話をするにしても原作通りではなくて登場人物を絞った話に再構成するかしてほしかった。