shoryu20の忍たま日記

『忍たま乱太郎』について色々と書いていくブログです。藤崎竜さんの『封神演義』と柴田亜美さんの『南国少年パプワくん』のレビューもあります。

ミュージカル『忍たま乱太郎』第3弾 ~山賊砦に潜入せよ~

ミュージカル『忍たま乱太郎』第3弾 ~山賊砦に潜入せよ~

2012年1月12日公演

 

『忍ミュ』第3弾。

「『忍たま』をミュージカルでする」と言うのも定着し、いよいよ脂がのってきたと言う感じ。

細かいやりとりも含めて色々と笑える要素が多いが、一方できり丸は戦で村を失ったと言う話が取り上げられていて戦国時代の厳しさも描かれている。

 

今回の脚本は阪口さんで、彼がアニメで手がけている厳禁シリーズと六年生のアルバイトシリーズと同室シリーズがミュージカルでも登場となった。これらのシリーズは主人公である乱きりしんと忍ミュの主人公である六年生を絡めているのでミュージカル向きの素材であったと言える。

 

喜三太の再現度が高くて驚き!

今回の舞台を見てふと思ったのだが、ミュージカルでの仙蔵はどちらかと言うと原作よりアニメの厳禁シリーズに近いのかな?

この頃のアニメでは厳禁シリーズは仙蔵としんべヱと喜三太、アルバイトシリーズは文次郎と小平太と長次ときり丸、同室シリーズは留三郎と伊作と乱太郎と言ったように固定メンバーで話を回しているのだが、今回は舞台上に六年生全員が揃っているので、アニメではこの時点ではまだ無かった厳禁シリーズの三人と用具委員会委員長の留三郎の絡みがある。

 

アルバイト3人組の『いけどんマーチ』が面白くて何度見ても笑える。演じている役者さんの年齢もあって六年生は設定年齢より年上に見える事が多いのだがこの時は15歳と言う設定より幼く見えた。なんか、小学生男子っぽいやりとりで可愛かった。

オリエンテーリング編、今回の忍ミュ、小説『ドクタケ忍者最強の軍師』と続けて見ると長次ときり丸の関係に泣ける。きり丸と言えば土井先生との話の印象が強いが、きり丸と長次の話も数は少な目だが良い話が揃っている。

 

最近の原作やアニメでの伊作は「忍者としてそれはどうなんだろう?」と疑問を抱いてしまうような不運では片付けられないミスが多いので、今回のドクタケ忍者の戦いでは伊作は不運だけど六年生としての実力はちゃんとあると言うのが示されていて良かった。

 

自分はDVDでこの舞台を見たのだが、文次郎と留三郎の喧嘩シーンはカメラアングルも考えられていて見応えのある場面になっていた。画面を二分割しての対決シーンの場面を見ると、舞台で見るのとソフト化されて家のTV画面で見るのとでは演出や見せ方を変えなければいけない事が分かる。今回の舞台のDVDはまだ少しではあるがその違いを意識した編集になってきたように思える。

 

練り物があったので食事シーンの間ずっと固まってしまった土井先生が面白い。

土井先生が森本亮治さんから矢吹卓也さんに変わっているが、森本さんの土井先生だとずっと止まっているのではなくて逆に騒ぎまくりそうな気がする。この辺りは役者に合わせてキャラが変わっているのかもしれない。森本さんの土井先生は土井先生と言うより森本さんそのものと言う感じになってきていたので、矢吹さんの土井先生は原作やアニメの土井先生に近い感じに戻してきた気がする。(と思ったら半子さんのシーンでいきなりはっちゃけて驚いた)

練り物が目の前から消えたと言うだけで感激のあまり歌い出す土井先生は爆笑必至! 歌がメチャクチャ感動系なのが余計に面白い!!

 

自分がラップ好きと言うのもあるが、きり丸のラップシーンが結構好き。

てか、きり丸役の加藤幹夫さんはラップが結構上手いな。忍ミュ第二弾で披露された山田先生のラップとのレベル差が凄すぎる!

 

ミュージカルには全ての忍たまが出るわけではないが、台詞で喜八郎や兵太夫や作兵衛と言った忍たま達の名前が出てくるのが嬉しい。

 

ドクタケ忍者の皆さんは今回もカワイイおっさん達で和むw

山賊一号はかなり荒々しいワイルドな感じだったので、いきなりドクタケ忍者と一緒に華麗に踊り出したのはギャップがあって面白かった。

 

阪口さんが書いた小説『ドクタケ忍者最強の軍師』で八方斎には加虐趣味があると言う設定だったが、今回の伊作を鞭で叩く場面が下敷きになっているのかなと思った。(まぁ、原作での初登場時でも土井先生の手を刺したりしていたか)

 

脱出の時にまず六年生を活躍させ、その六年生を簡単にあしらう事で山賊一号の強さが引き立った。なので、その直後の山賊一号VS山田親子の戦いがまさに「最強対決!」と言う感じになって盛り上がった。ここは戦いの盛り上げ方の基本がしっかりと押さえられていて良かった。

今回は土井先生が足を負傷していたが、これは山賊一号との戦いが一対三にならない為の処置だったのかな。さすがに山田先生、利吉さん、土井先生の三人相手だと山賊一号も勝てる見込みが無いだろうし。

それか、山賊一号をきり丸のアナザーと考えた場合、さすがに土井先生と戦わせるのは酷だったのかもしれない。それはそれで見てみたかったが、その題材でミュージカル一本が出来そうなので、六年生と五年生がメインである今回の舞台ではそこまで盛り込むのは難しかったかな。

 

真の実力を見せた学園長。あれはもう時間の流れを変えるスタンド能力を発揮したんじゃないのか?と言う領域だった。ミュージカルに限らず映画やアニメとかでもアクションシーンは動きの早さで強さを見せる事が多い中、逆に動きを遅くする事で凄さを見せたのが学園長のキャラに合った表現だったと思う。

 

この頃はまだ八左ヱ門のイメージが固まっていなかったのか、上級生への対抗意識が強かったりと原作やアニメとは違った熱いキャラクターになっている。こういう熱いキャラクターは原作やアニメにはあまりおらず、逆にミュージカルではよく見られる。原作やアニメと違ってミュージカルは一つの話で人物の成長や変化を見せる事が多いので、こういう熱くて真っ直ぐで失敗もする事があるキャラクターは必要なのかもしれない。

 

六年生に張り合う五年生に対して学園長が言った「お前達は良く出来るが五年生だった時のあいつら(六年生)程度の力しかない」と言う台詞が良かった。同情でも慰めでも方便でもない。そして精神論を振りかざすのではなくて目の前にある事実を示して話をしている。この場面の学園長は立派な教育者であった。

新人忍者に変装した利吉さんに対する先輩ドクタケ忍者の態度と合わせて見ると、今回の八左ヱ門は「六年生の後輩」と言う位置付けで、今回の話は忍術学園における「先輩と後輩の関係」を見せたかったのかなと思う。今回の八左ヱ門は原作やアニメとはキャラクターが違っていたが、それは原作やアニメでは「乱太郎達の先輩」と言う位置付けだったに対して今回は「六年生の後輩」と言う位置付けになっていたからと考えられる。

 

戦災孤児だったきり丸が仲間や家族を得て、学園長が五年生達をしっかり着実に成長させようとしているのに対し、戦災孤児だった次郎衛門はたった一人で生きていこうとし、八方斎は山賊達を必要な時だけ集めて使い捨てのような扱いにしようとする等、正しい事をする忍術学園と悪い事をするドクタケと言う対立構造がしっかりと描かれていた。そしてこれを描きながら敵キャラのドクタケを憎めないふうに演出できるバランス感覚が素晴らしい。

 

きり丸も山賊一号もお金を手に入れる事を一番の目的としているが、きり丸はアルバイトと言う人との繋がりを作る事でお金を稼ぐのに対し、山賊一号は人を襲ったり戦に参加したりと人との繋がりを絶つ事でお金を手に入れると言う対比が上手い。今回のメインエピソードは六年生できり丸と次郎衛門の話はサブエピソードだったのだが難しいテーマを上手くまとめていた。