shoryu20の忍たま日記

『忍たま乱太郎』について色々と書いていくブログです。藤崎竜さんの『封神演義』と柴田亜美さんの『南国少年パプワくん』のレビューもあります。

「海の底の故郷」 『南国少年パプワくん』第43話

「海の底の故郷」

南国少年パプワくん』第43話

 

ジャンとシンタローが合体して凄まじいエネルギーを持つ球体に変化する。卵のような球体の殻を破って二人が合体した存在が姿を現す流れは「生まれ変わり」を連想させる。

 

特戦部隊が迫ってきているのを察知したパプワ達はモッくんの助けを借りて地下を通って逃げる事に。それを知って「わての親友のシンタローはんを置いていかはるつもりでっか!!」と叫ぶアラシヤマに対する「だったらアラシヤマは残るといいだっちゃ♡」と言い放つトットリがまさに天使のような悪魔の笑顔(byマッチ)。

トットリはアラシヤマに突っかかる事が多い。実はアラシヤマの事が好きで突っついて反応を楽しんでいるのかと思ったが、以前に「アラシヤマの事は好かん」とぽつりと呟いていたので、マジでアラシヤマとは合わないので、いなくなってほしいなと思っているのかも…。

 

黒ヤギのイシイ君に食べられたくり子のラブレターをミヤギが代わりに書く事になるが出来上がったのは果たし状…。いや、まぁ…、何を食べられたのか知らなかったから仕方が無いとも言えるが、くり子の反応を見たら果たし状を食べられたと言う発想は出ないもんだと思うんだが…。

くり子とのやりとりを見ていると、ミヤギって顔は良いけど女性にはモテないタイプかも…。

 

パプワとくり子が散歩(デート)する事になり、ミヤギとトットリは女子は単純だと文句を言い、アラシヤマはこういう時に良いのかと疑問を抱くが、コージは「もうすぐここは戦場になるんじゃ。束の間の平和じゃけんのぉ」と言って二人を行かせる。伊達衆4人の中でコージは冷静に状況を見て物事を言う事が多い。後にミヤギ達より年上である事が分かるが、この頃から皆の兄的な存在になっている。

 

この回でパプワはくり子に海の底の故郷を見せる。パプワがここでノアの方舟についてどこまで言ったのかは分からない。「僕の故郷だ」以外は言っていないのかもしれない。でも、ここでくり子は色々と察したように思える。つまり「パプワ達があの船に乗って何処かからこの島にやって来た」と言う事は「パプワ達はあの船に乗ってこの島から何処かに去って行く可能性がある」と言う事。それは「パプワとくり子はもう二度と会えないかもしれない」と言う事でもある。そう考えると、あの陽が沈んだ沈んでいないのやりとりは二人にとって今生の別れになるかもしれない中でのやりとりだった事が分かる。

 

シンタローがパプワ島を去る時に「またいつかきっと」と言ってパプワが「いつかなんて日はいつだ?」と返した事がある。パプワは「いつかなんて日は来ない」と言う事を知っているのだ。(だからあの日のパプワは「ごちそうさま」と言ってシンタローの料理を食べ終わった)

シンタローがパプワ島を去る時に言った「またいつかきっと」は二度と会えない可能性が高い事を知りながら自分と相手に対してその場しのぎの優しいが残酷な嘘を吐いてしまったと言える。実はパプワがくり子に対して言った「156センチになったらお嫁さんにする」もそれと同じく二度と会えない可能性が高い事を知りながら自分と相手に対してその場しのぎの優しいが残酷な嘘を吐いたと言える。パプワはいずれ自分がシンタローやくり子と離れ離れになる事を知っていた。なので、くり子に対して「156センチになったらお嫁さんにする」と言う優しいが残酷な嘘を吐いてしまい、後にシンタローから「またいつかきっと」と優しいが残酷な嘘を吐かれてしまった。

しかし、シンタローは「またいつかきっと」を「きっとこの島に帰って来る」に変え、くり子も「パプワ様! 私156センチになりますッツ!! なってみせますからッツ!!!」と絶対にもう一度会う事を宣言する。そして、シンタローもくり子もその宣言を見事果たすのであった。

 

次の話でパプワはカムイじいちゃが死んだ時に自分は「泣けなかった」と言っている。「泣かなかった」ではなくて「泣けなかった」と言う事は「大切な人との別れで泣く事が出来なかった」と言う事で、泣いて取り乱さなかったのは気丈で立派だと言える一方、パプワは自分の感情を上手く表現出来ないのではないのかと言う不安も出てくる。「泣けなかった」と自分で言っている辺り、パプワ自身も自分が感情を出せない事にコンプレックスを抱いている可能性がある。

これがシンタローと出会った後の話となるくり子やエンドウくんとの別れの時になると「泣かなかった」となる。「泣けなかった」ではなくて「泣かなかった」と言う事は「大切な人との別れで泣きそうになったが我慢した」と言う事で、カムイじいちゃの時に比べてパプワは自分の感情を出せるようになってきたと受け取る事が出来る。

そしてパプワはシンタローが島を出る時に自分は「泣いてた」と明かす。パプワは遂に「大切な人との別れで泣けるようになった」のだ。そしてパプワは泣けるようになった自分の事を「強くなった」と語る。完全無欠な少年は欠点(コンプレックス)だらけの大人になる。だけど人間は欠点を克服出来るから面白い。

 

くり子と撮った写真をパプワは自分にはポケットが無いからとサービスに託す。

この写真がその後どうなったかは描かれていないが、そのままサービスが持っていたのかな? そうなると、パプワ達がパプワ島を去った後はサービスからシンタローに渡された可能性が高い。ガンマ団の新総帥になったシンタローはこの写真を見ながら「お前が残していったあの島の未来がどう変わるかは俺達しだいだと思う」と決意を新たにしていたのかもしれない。

因みに『パプワくん』の最終回でパプワとくり子の写真を挟んで大人になったパプワとくり子の再会(結婚)が描かれるが、この写真はシンタローが持っていたものだと考えると、実はこの『パプワくん』ラスト3ページはシンタローがパプワとくり子の写真を見ながら「こうなってほしい」と願った未来の形と考える事も出来る。(そして、くり子がパプワと再会出来たのなら、シンタローもいつかパプワと再会出来る可能性があると言う未来を示しているとも言える)

 

「ぼくの大切なモノだ」